背骨に沿って、脳からの信号が身体全体に送られています。背骨に本来の長さがあれば、よりスムーズにその信号のやり取りを行うことができます。そこで、本来の背骨の長さとは何なのかを考えたいと思います。
テンセグリティー(tensegrity)という言葉に耳馴染みがありますか? tensionテンションとintegrityインテグリティの二つの言葉を合わせた言葉で、張力と統合性という意味になります。 右の写真は、私が輪ゴムと紙ストローで作ったテンセグリティーモデルです。子供用のおもちゃで手にしたことがあるかもしれません。紙ストローの長さ硬さが輪ゴムの張力を生み、輪ゴムの張力で紙ストロー同士がお互いにバランスを取り合って全体を形成しています。人体の仕組みはテンセグリティーだけで説明するには不十分かもしれませんが、とても役に立つイメージです。背骨とその周辺の筋肉も、テンセグリティーのようにお互いに支えあって全体を形成しているので、筋肉で起きたことが背骨の長さに影響します。そして、背骨の長さが筋肉の状態にも影響します。
背骨は7つの頚椎、12個の胸椎、5つの腰椎、仙骨、尾椎 から成り立っていて、それぞれ個々の椎骨がテンセグリティーの紙ストローのように、筋肉の張力を生み、その張力で個々の椎骨が適切な距離を保ち、互いに支えあって、背骨全体がバランスを取っている状態が本来の背骨の長さと言えます。
テンセグリティーモデルの一箇所を押してみると全体の形はどう変わるでしょうか。緩む輪ゴムもあれば、張力の増す輪ゴムもあり、全体の形が変わります。例えば首の筋肉が収縮すると、緩む筋肉もあれば収縮する筋肉もあり、背骨全体の形に影響します。もちろん背骨で起こっていることはそこだけでなく、身体全体、感情、考えなどにも影響があるので、全体で常にバランスを取り合っています。
試しに日常的に行なっている動作(椅子の立ち座り、話す、歩くなど)をした時に背骨の長さがどうなっているかを気にしてみてください。すると身体のどこかでやりすぎていることを見つけるきっかけになるかもしれません。
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